明日も晴れ

仕事から帰ってきたばかりの母はピリピリしている。これから夕食の準備をして食べ終えて、片付けた後お風呂の準備ができるまでずっと。



「和佳、ごめん。これ切っておいてくれる? 着替えてくるから」

「はぁい、どう切るの?」

「適当に、野菜炒めに入れるから、ざくっと切ってくれたらいいよ」



少し苛立ったように返して、母が二階へと上がっていく。いつまでも仕事行きの格好のままでいるのは嫌だから、着替えに行ったんだ。



玉ねぎめ、恐るべし。
まな板から顔を離して切っているはずなのに、的確に鼻の奥を刺激されて涙が出てくる。



「ありがとう、もういいよ」



ちょうど切り終えた頃、母が下りてきた。すぐに私と入れ替わって、慌ただしく調理を始める。



台所から弾き出された私は食器棚から茶碗とグラス、お箸を出してテーブルへ並べていく。
母には『もういい』と言われたけれど、このままリビングでソファに座ってテレビを観ていることはできない。



私だけ寛いでいるの? 
いいよね。
などと母に嫌味を言われかねないから。



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