明日も晴れ

『付き合って』と先に言ったのは今泉君。私から好きなんて、言ったこともない。



だけど付き合い始めてから一度も『好き』と言ってくれたことなんてない。



たぶん好きだと思ってくれてるはず。きっと照れ臭くて言えないんだろう、と思うようにしてる。
そうでなければ、『付き合って』なんて言うはずない。勢いで言うような感じじゃないし。



でも私には自信がない。今泉君と面と向かって『好き』なんて、絶対に言えないと思う。



このままじゃ、いつまで経っても言えるような気がしない。



本当は、『ずっと好きだった』なんて。



高校一年で同じクラスになった時から、ずっと……



第一印象は無口な人。
初めて声を聴いたのは、合宿で同じ斑になった時。



雲ひとつない空を吹き抜ける風のように澄んだ声。飄々とした空気を纏った今泉君は、今にも風に舞いそうに思えた。



今泉君を見るたびに、私の胸の中で舞い上がる風は限りなく澄んでやわらかい。
でも、いつか風は私の元から去ってしまうんじゃないか。



考えたくないけど、つい考えてしまう。
将来を考えると尚更に。


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