明日も晴れ
「今泉君は、いつもどんな番組観てるの?」
「ん……、いろいろ」
きょとんとした今泉君は澄ましているようにも見えるけど、ほんのちょっとだけ恥ずかしそうにも見える。
いつもと違う顔が、私の知りたい気持ちを加速させる。
もしかすると、少し照れてる?
自分のことを話すのは恥ずかしい?
そういえば今泉君が私に尋ねることはあっても、私から今泉君にいろいろと尋ねたことはない。立場逆転というほどでもないけど、今は今泉君のペースが崩れているのは確か。
「バラエティとか、お笑いとかは観るの?」
「もちろん観るよ、結構何でも」
今泉君が頷く。ぴんと背筋を伸ばして自信に満ちた素振りだけど、やっぱり恥ずかしいそう。
なんとなく視線が落ち着かない様子。ふわふわと泳ぐような瞳が、あっちへ向いたりこっちへ向いたり忙しない。さらには、お箸を何度も握り直したり。
「じゃあ、今一番好きなのは?」
尋ねた声は突如として湧き上がった隣席の笑い声にかき消され、語尾になるほど掠れて小さくなった。頼りない言葉は、どこまで今泉君に聴こえたのだろう。