初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
ご飯を食べ終えて、あたしの部屋に色羽とふたりでいた。
床に座り、小さなテーブルで夏休みの宿題のプリントをやっている。
「華、消しゴム貸して」
「あ、うん」
夏休み前、3人で花火をした時。
あの日、色羽に告白された。
でも次の日、色羽に会ったら何事もなかったかのような態度で、
どんな顔して会えばいいんだろうとか、あたしの方が逆に意識してたみたい。
色羽の態度があまりに普通すぎて、いつのまにか普段のあたしたちに戻っていた。
もちろん気まずくなりたくないし、よかったんだけど……。
「……華?」
「え?なに?」
「全然進んでねぇじゃん」
「あ……うん」
「俺終わったし、風呂入りてぇし、そろそろ帰るわ」
「もう終わったの!?はやっ」
頭いいなぁ、やっぱり。
「俺のプリント見る?」
「え?いいのぉ?」
あたしが手を差し出すと、色羽はべーっと舌を出す。
「ちょっとぉ」
「まぁ、がんばれ」
「えー!なにそれー。ケチー」
「じゃーな」
色羽はあたしの部屋を出て、自分の家に帰っていった。
「前と全然変わんないんだけど……」
あの日のことは、夢だったとか……?
あたしのこと好きって言ってたくせに、あの日以来、そんな態度は全然感じない。