初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
夏祭り会場に着くと、盆踊りの曲が流れていて、いくつもの屋台が立ち並んでいる。
たくさんの町の人ですでに賑わっていた。
毎年来てるけど、やっぱりこの雰囲気が好き。
今年も夏が終わっちゃうんだなーって、少し寂しさも感じる。
「かき氷食べよーっ!あたしイチゴ味」
「俺メロン味~!色羽は?……って、なに笑ってんだ?」
色羽の顔を見ると笑っている。
「いや、おまえら変わんねぇなーと思って。小さい頃からずっとその味じゃん」
「そう言われればそうかもね。なんでだろう?なんで成はメロン味なの?」
あたしが聞くと成は首を傾げる。
「わかんない。なんとなくメロン味。色羽に言われるまで無意識だったわ俺」
色羽は、クラスの人たちにクールに見られているし、
人にあんまり興味なさそうとかよく言われてるけど、本当はそんなことない。
自分でも忘れてしまっているような昔のことや思い出を、
誰かがこうして覚えてくれているのは、すごくうれしい気持ちになる。