初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
ケータイの画面を見つめる成。
砂歩からの電話かな……。
「気にしないで電話出ていいよ?砂歩でしょ?」
「あ、うん」
「早く出ないと切れちゃうよ?」
「じゃ、ごめん出る。華、ここにいろよ?危ないからひとりで動くなよ?」
「うん、わかってる」
成は立ち上がって電話に出ると、あたしから少し離れたところに移動した。
やっぱりあたしの隣では、話してくれない。
成の後ろ姿は見えるけど、なにをしゃべってるかなんて全然聞こえない。
でも隣で話されたら、それはそれで悲しい気持ちになるんだろうな。
聞きたいけど、聞きたくない。
そんな矛盾した気持ち。
結局、どっちでも傷つくんじゃん、あたし。
砂歩のおばあちゃん、大丈夫なのかな。
つらくて、成に電話してきたのかな。
つらい時、寂しい時、砂歩がいちばんに頼るのは、あたしじゃなくて成なんだろうな……。
成の背中を見つめた。
あたしと一緒にいても、成はあたしのことじゃなくて、きっと砂歩のこと考えてるんだよね……?
頑張って浴衣を着てみたって、なにも変わらないのに。
成とあたしは、幼なじみのままなのに。
なにやってんだろう、あたし。
夏祭りだって、浮かれて浴衣着て。
成に可愛いって思われたくて必死で……どんな髪型にしようかとか雑誌みたりして考えて。
本当バカみたい。
あたしたちは何も変わらないんだよ。
ねぇ、成。
もしも……
あたしがいまここからいなくなったら、
成はどうする……?