初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
なんて、バカみたいなことも考えてみたりする。
ため息をついて、足元を見た。
痛い……。
めずらしく下駄なんて履いたから、足の指の皮がすりむけちゃってる。
石段に座ったまま、下を向いて足の指にフーッフーッと息を吹きかける。
「華、どした?」
頭の上から聞こえた成の声に、顔を上げた。
「電話終わったの?」
「うん」
「下駄履いたから、指が……」
「見せて。……うわっ。痛そうだな。ちょっと待って」
成は、あたしの前にしゃがみこむ。
成は、1枚の絆創膏を取り出した。
「え?成、なんで絆創膏なんて持ってるの?女子かいっ!」
成はニコっと笑った。
「浴衣着るのなんて久々だからさ。3人のうち誰かしらこうなると思って。だから一応持ってきた。気が利くだろ~俺って」
「ふふっ。自分で言うんだっ」
成は、昔からそういうとこあったよね。
誰も気づかないことを気づく優しさとか。
周りの人の気持ちとかに敏感だったりするよね。