初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

「焼きそば買ってきたぞ」



俺が声をかけると、華は恥ずかしそうに顔を背ける。



「おーさんきゅっ」



成は、何事もなかったかのように立ち上がり、俺からやきそばを受け取った。



「なにしてたんだ?」



俺が聞くと、成は華の足元を指差す。



「華がさぁ、下駄で足の指すりむいてさ」



「平気かよ?」



俺が聞くと、華はうつむいたまま「大丈夫」と言った。



「華が絆創膏を持ち歩くなんて、珍しく用意がいいな」



「いや、俺だよ?絆創膏持ってきたのは」



得意げな顔をする成。



「なんだよ?そのドヤ顔。つーかおまえ女子かっ」



「ハハッ。華と同じツッコミ~」



――ヒューーードォーーーン……。



その時、夜空に花火が打ち上がった。



「あ、始まったな!」



俺が言うと、立ち上がった華は石段から下りた。



成、華、俺。3人並んで立ち、夜空の花火を見上げた。



「わぁ……きれぇ……」



華がうれしそうな顔をするから、俺もつられて微笑んだ。



次々と打ち上がる花火。



毎年見ているのに、何度見てもやっぱりきれいだ。
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