初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
クラスの出し物は、お化け屋敷に決まった。
それからまもなく、放課後は上下ジャージに着替えて、
文化祭の準備で毎日少しずつ忙しくなっていった。
「重っ」
1階にある倉庫から、お化け屋敷で使う段ボールを持ち出して、あたしは2階の教室へと運んでいる最中だった。
段ボールって案外重たいし、前もよく見えないし……もぉ最悪。
時々よろけながら廊下を歩いていると、他のクラスの女子たちが話している声が耳に入ってくる。
「ねぇ、成くんに彼女できたの知ってた?」
「同じクラスの子でしょー?本当ショックなんだけどぉ」
「バイト先が一緒らしいよぉ?」
「えー?ずる~い。うちもそこでバイトすればよかったぁ」
成と砂歩が付き合ってることが、少しずつ学校で噂になり始めていた。
たぶん、バイトが同じ日に学校から一緒に帰っていくのを目撃されたんじゃないかな。
「あ、華ーっ」
段ボールの横から顔を出すと、砂歩が向こうから走ってきた。
「重たいでしょ?半分持つよっ」
「ありがとぉ、砂歩」
砂歩に段ボールを半分持ってもらって、ずいぶんとラクになる。
「砂歩って衣装作る係でしょ?いいの?手伝ってもらっちゃって」
「いいの、いいの。係決まってても、みんなあちこちで適当にやってるし」
「ふふっ。だね」
「そういえば、色羽くんが華のことさがしてたよ?」
「色羽が?あ、いた」
あたしは教室の前の廊下で、看板に色を塗っている色羽を見つける。