初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

段ボールを教室に運んだあと、あたしは廊下に出た。



「なに?呼んだ?」



看板を塗る色羽の隣にしゃがみこむ。



「あー。手伝って」



「はいはい」



あたしがペンキに手を伸ばすと、色羽はその場に寝っ転がった。



「え?なにしてんの?色羽」



「休憩」



「それであたしを呼んだの?」



「……バレた?」



舌を出してイタズラっぽく笑う色羽。



「もぉ!ふたりでやった方が早いでしょ?ちょっとぉ、起きてよぉ」



「……疲れた」



「疲れたって言うほど進んでないじゃん」



「はー?ちょー頑張ったし俺」



横になったまま、色羽は目を閉じる。



「寝るんかいっ」



「ちょっと休憩だって」



「はいはい、おやすみ」



へへっ。いいこと思いついちゃった。



色羽の顔に、ペンキをつけちゃおっと。



筆を色羽の顔に近づける。



その瞬間、色羽はパチッと目を開けた。



「おい、コラ」



「ちっ。もうちょっとだったのにぃ~」



起き上がった色羽から、あたしは必死に看板の周りをくるくると逃げ回る。



「待てよ、華っ」



「アハハッ……やだよー。べーっ」



「ベーっじゃねぇよ。待てっ」



あたしは必死に逃げ続ける。



けど、ふいに逆をつかれて、色羽に腕を掴まれてしまった。
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