初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
うちのクラスのお化け屋敷は、午前中からなかなかの盛況っぷりだった。
「あれ?望月じゃん。もう交代の時間?」
お化け屋敷の中に入ろうとすると、入口にいた男子に話しかけられた。
「ううん。ジュース届けに」
「あーそうなん?いってらー」
あたしは、午前中にオバケ役の当番である成と色羽に差し入れでもしようと、
缶ジュース2本を持って、お化け屋敷の中へと入ってく。
中に入ると真っ暗で、何も見えない。
何も知らなかったら、ちょー怖いけど、
自分のクラスの出し物だから、どういう順序でどんなオバケが潜んでいるかちゃんと知っているから、なんとか平気。
「冷たっ」
上からぶらさげてあるコンニャクが頬にピタッとつく。
コンニャクの存在うっかり忘れてたわ。
――ザッ。
「うわっ」
障子から手が一気に何本も出てくる。
知っていても、ちょっと驚いてしまった自分が恥ずかしい。
横から雪女の格好をした男子が現れる。
「ふふっ。おつかれさまっ」
あたしが笑顔でいうと、雪女は髪をかきあげた。
「なんだ望月か」
「雪女、似合ってるよ」
「おう。全然うれしくねーけど」
「がんばってね」
「はいよ」
あたしは奥へと進んでいく。
もうすぐ成がいるところだ。
――バンッ。
十字架が書かれている大きな箱の中から、ドラキュラになった成が現れた。