初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

「なんだ、華か」



「やほっ」



成が持っていた懐中電灯を奪い取り、成の顔を照らす。



「なっ!眩しいって」



顔を手のひらで隠した成を見て、あたしはライトを消した。



「てかドラキュラっぽい衣装を着ただけで、全然ドラキュラの顔してないじゃん。手抜きし過ぎでしょ」



暗いけど、近づいてよく見たら、思いっきり成だってわかる。



「牙つけたり、メイクとかすれば、もっとドラキュラっぽくなれたんじゃないの?」



「一応、カラコンは入れてみたけど?」



「わかりづらっ!暗くてほとんど見えないし。わかりやすく顔とか真っ白に塗ればよかったんじゃない?」



「えー?そんなんしたら俺、超敏感肌だから荒れちゃうかもじゃん?」



「女子か!」



「ハハッ……んで?どうしてここに?」



「あーそうそう。ノド渇いたかなって思って。はい」



あたしは缶ジュースを成に渡した。



「おお。めずらしく気が利くね~華ちゃん」



「“めずらしく”は余計だから」



「あ、やべっ。誰か来た。華、そこのうしろに隠れてて」



「え?うん」



十字架が書いてある大きな箱の後ろにあたしが隠れると、成は箱の中に入って出番を待った。
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