初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

しばらくして、お客さんがふたり歩いてくる。



――バンッ。



成は箱の中から飛び出し、お客さんたちの前に立った。



「血をくれ~フフフッ……」



「ギャアアアーーーー!」



お客さんたちは、叫びながら走っていってしまった。



ウソでしょ?どのへんに恐怖を感じたんだろう。



懐中電灯を顎の下から当てて、ドラキュラの衣装を着てるただの成なのに。



ライトでカラコン入れてる目が光ったとか?



「どう?俺の迫真の演技」



ニコッと笑った成が、あたしの隣に来てしゃがみ込む。



「どこがよ。笑いそうになったわっ」
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