初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

真っ暗で狭いこの場所にふたり並んでしゃがんでいる。



成の右腕に、あたしの左腕がぶつかったまま。



「んじゃ、ジュースいただきます」



あたしの方に向いた成の顔が、ものすごく近くにあって、ドキッとしてしまった。



「ど、どうぞ」



お客さんに気づかれないように、小声で話すあたしたち。



「もう1本は?華は飲まないの?」



「あぁ、これ?色羽の分だよ」



「そっか。色羽は出口の手前に隠れてるから……って知ってるか」



「うん」



あたしはうつむき、手をモジモジとさせていた。



あたしはずっと気になっていたことがある。



前に、砂歩が他のクラスの怖い女子たちに絡まれて、成が助けたとき。



あの時、成が言った言葉。



あれって、どういう意味なんだろう。



いま、ふたりきりだし聞いてみようかな。



「ねぇ、成」



「ん?」



あたしは下を向いたまま、小さな声で言った。



「前、砂歩が女子たちに絡まれた時さぁ“いちばん傷つけてるのは俺なのにな”って言ってたけど、あれ……どういう意味?」
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