初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

倒れこんできたあたしを成は咄嗟に受け止めてくれた。



あおむけになった成の胸元に、あたしは顔をくっつけたまま、この状況を瞬時に理解する。



「ご、ごめんね、成……」



あたしが顔を上げて、成の体から離れようとすると、



成は、あたしの体をぎゅっと抱きしめた。



え……?なに……?



成の両腕の力が強くて……動けない……。



成の胸元に耳をあてたまま、あたしは何度もまばたきをする。



成の心臓の音が聞こえる。



ねぇ、成……。



胸が張り裂けそうだよ……。



「……成……?」



あたしが小さな声で言うと、成は腕の力を緩めた。



「華……重たい」



「え?あ、ごめん……」



慌てて起き上がって成の体から離れると、成はゆっくりと腰をさすりながら起き上がった。



「イテテ……」



「大丈夫?成」



「うん。華は?どっかケガしてない?」



「うん。大丈夫……」



あたしの勘違い?



成の体から離れようとしたら、ぎゅって抱きしめられた気がしたんだけど。



勘違いじゃないよね?



でも、なんでそんなことしたの……?



どうしよう。



成の顔を見れない。



成は、いまどんな気持ちでいるの?



なんであたしを抱き締めたの……?



「成ー?」



その時、向こうから声が聞こえた。



この声……。
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