初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
あたしは夢を見てるのかな……。
成が階段を駆け上がってくる。
夢にまで出てくるなんて……。
「おーい、華」
成の声だ。
「華?」
夢の中でも成の声は、優しくて好き。
「こんなとこで寝てんなよなぁ」
微笑んだ成は、自分が着ていたブレザーを脱いで、あたしの肩にそっとかけてくれた。
あったかい。
あたしの隣に座った成。
あたしは目を閉じたまま、成の肩に寄りかかる。
成のセーターから、成の使ってる香水の香りがする。
あたしの好きな匂い。
幸せな夢だな……。
成は寝ているあたしを見つめて、あたしの髪を優しく撫でる。
ゆっくりと成の顔が近づいてきて、成は寝ているあたしにキスをする。
夢の中で、成とキス――。
このまま夢から覚めたくない。
でも夢なのに……本当にキスしてるような感触がある……。
成の柔らかい唇。
あたしの唇に残るこの感触……。
ゆっくりと目を開けると、目の前に成の顔があった。
え……?
夢から覚めたはずなのに、ここに成がいる。
もしかして、いまのは……
夢じゃなかったの?