初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
流星
** 華side **
――――――……
季節は冬。
12月になり、通学時のコート、手袋、マフラーが手放せない。
「いってきまーす!」
朝、玄関を出ると、いつものようにうちの前には成が待っていた。
「おはよっ!華っ」
「成!おはよ」
「寒いな」
「ホント寒いよぉ。いつ初雪が降ってもおかしくないって」
隣の家から、大きなあくびをした色羽が出てくる。
「おはよ、色羽」
「……はよ」
色羽はまだ眠たそう。
色羽とは違って朝から元気な成。
「なぁ!川の橋の上まで競争しよーぜっ!ビリはジュースおごり」
「えっ?ちょっと待ってよ、成ってば」
「待ったなし!いくぜ?よーい、ドンッ」
成の言葉に、あたしと成は勢いよく走り出した。
あれ?
「ちょっと待って、成。色羽見てよ」
立ち止まり振り返ると、色羽は眠たそうに、ゆっくりと後ろを歩いている。
「色羽ー!のんびり歩いてたら遅刻すんぞー!」
色羽は大きなあくびをして、あたしたちに先に行けと手を振る。
「しょうがないなぁ。無理やり引っ張ってくしかないな」
「だね」
あたしと成は、色羽の元に駆け寄り、色羽の両腕を掴んだ。
「行くぞっ!色羽っ」
「……ねみぃ。先に行けって」
「もぉ!いいかげん起きなさいよっ」
あたしは色羽の頭を思い切り叩いた。
「イッテ……あーマジで一気に目ぇ覚めた」
「それはよかったわ」
「もう少し手加減とかしろよな」
「そんなに痛かった?」
「だいぶな」
痛そうに頭をさする色羽を見て、成もあたしも微笑む。
「よし!走るぞーっ」
「ゴー!」
「なんでおまえらは朝からそんな元気なんだよ……ったく」
変わっていくものが多い中で、
こうしてまだ変わらないものがあることに、
あたしはどこか安心する。