初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
廊下を歩いていると、女の子の高くて可愛らしい声が聞こえてきた。
「先輩……っ。好きですっ」
あたしは慌てて壁に背中をピタッとつけて隠れる。
「先輩、よかったら私と付き合ってくれませんか……?」
階段の隅で、色羽が後輩の女の子に告白されていた。
壁から顔を出して、見つからないようにその様子を見つめる。
「気持ちはうれしいけど……ごめんな。俺、好きなやついるから」
――ドキッ。
いや、ドキッじゃないでしょ。なに顔熱くなってんだろ、あたし。
後輩の女の子は、色羽に頭をペコっとさげて走り去った。
「バレてんぞ」
色羽の声にあたしは慌てて壁に隠れる。
そっと顔だけ出すと、色羽がこっちを見ていた。
のぞいてたのバレてたんだ。