初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
「お、おやすみっ」
そう言ってあたしは、寝っ転がったままくるんっと反対側を向いて、色羽に背を向けた。
あたしは胸のあたりをぎゅっと掴む。
この胸の音、色羽に聞こえてないよね……?
「華……」
後ろから聞こえる色羽の低い声に、体がビクッと動く。
「なに……?」
「……こっち向けよ」
ドキドキする。胸の奥が熱い。
「な、なんで?」
「……寂しいから」
寂しいってなに?
かわいいとか思っちゃったあたしもバカ。
あたしは寝っ転がったまま、ゆっくりと色羽の方に向く。
「向いたよ……?」
「うん」
見つめ合うあたしたち。
「一緒に寝よ」
そう言って色羽は、自分の布団をめくった。
そっちの布団に入れと……?
「バ、バカ……なにもしないって言ったじゃん」
「一緒に寝るくらい別にいーだろ?」
「ダメッ」
「じゃー俺がそっちに行く?」
「同じでしょーよ!」
「ぶはっ……華って本当からかいがいあるよな」
色羽は枕に顔をうずめて笑っている。
「からかってたの?もぉーバカっ」
ヘンに意識してるのはあたしだけだったのか。
枕に顔をうずめていた色羽は横を向き、あたしを見つめる。
「じゃー手ぇつないで寝よ」
「ちょっ……まだからかってんの?」
「いや、いまのは本気」
そう言って色羽は、あたしの布団の上に左手を差し出した。