初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

色羽の左手をあたしは見つめる。



なんでこんな気持ちになるんだろう。



その手を握り締めたい。



あたしが両手で色羽の左手をぎゅっと握りしめると、色羽はそのままあたしの体を抱き寄せた。



色羽は、あたしたちの体にそっと上から布団をかける。



「ねぇ……手ぇ……繋ぐだけじゃないの?」



布団の中で色羽に抱き締められながら、あたしは小さな声で聞いた。



「今夜は冷えるからな。くっついて寝たら、あったかいだろ?」



「うまい言いわけ考えたね」



「ふっ……バレたか」



でも色羽の手、あったかい。



色羽の腕の中も、すごく……。



色羽があたしの髪を優しく撫でる。



上を向くと、色羽の顔が目の前にあった。



息が触れるほど近くに。



視線を逸らせない。



「やっぱ我慢できそうにねぇわ」



「え……?」



色羽は、あたしの体をぎゅっと強く抱きしめる。



「うそ。我慢する」



あたしを抱きしめたまま、あたしの頭に顎を乗せた色羽は優しい声で言った。



「約束は守んねーと」



いつまでも待つから……色羽の言葉に、あたしは甘えてきた。



待ち続けるのは、簡単じゃない。



それでも色羽はあたしを想って、



あたしが答えを出すまで、あれから何も言わずに待ってくれてる。



「色羽……」



あたしは色羽の胸元に頬をくっつける。



「あったかいね」



「ん……」



「今夜はこのまま一緒に寝よっか」



「華……」



「おやすみ……色羽」



「おやすみ……華」



色羽の腕の中で。



色羽の胸の音を聞きながら。



あたしはそっと目を閉じた。



あったかくて、安心する。



こんなに落ち着ける場所があったなんて、知らなかった――。
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