初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら



あたしたちが通っていた小学校は、高校よりも遠くて、歩いて30分以上かかるところにあった。



田んぼ道や、川原を歩いて行くんだけれど、



あの頃のあたしたちは、虫を捕まえたり、追いかけっこをしたりして遊びながら3人で学校から帰っていた。



あの日は確か、色羽のお母さんの7回忌の日が近かったのを覚えている。



その帰り道の途中で、同じ町内に住むおばさんたちが立ち話をしているのを偶然聞いてしまった。



この田舎町で、ましてや同じ町内に住んでいるとなると、知らない人なんていない。



それぞれの家庭の事情なんかも筒抜けだった。



『九条さんとこの奥さん、もうすぐ7回忌ですって』

『早いわよねぇ。月日が経つのは』



『奥さんに先立たれて、旦那さんも大変よねぇ』

『もともと体の弱い人だったからねぇ、きっと無理して色羽くんを産んだからあんなふうに病気になっちゃったのよ』



『そうねぇ。色羽くんを妊娠するまでも相当大変だったって聞いたわよ』

『子供が出来ないんじゃないかって思ってたもの。無理してまで産むことなかったのに……』



『結局、色羽くんを産んでからも、ずっと体調悪そうだったしねぇ』

『ホントよねぇ。若いのに病気にまでなってねぇ』



心ない言葉ばかり。



おばさんたちは、色羽が聞いてるとも知らずに好き勝手なことを話していた。



その話を聞いた色羽は、その場から走っていってしまう。



『ま、待って!色羽っ』



成とあたしは、すぐに色羽のあとを追いかけた。
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