初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
後ろから色羽の腕を掴んだときの、あのときの色羽の顔が忘れられない。
泣いてるわけでもなく、なにかを理解したかのような寂しそうな笑顔。
いまもハッキリと覚えてる。
あのとき言った色羽の言葉も。
『そっか……。母ちゃんは俺のせいで死んじゃったのか。だから父ちゃんは俺を嫌いなのかも……』
『ちがうよっ!嫌いなわけないだろっ!』
そう言って成が泣き出したのも、覚えてる。
『じゃあなんで……?なんで父ちゃんは俺と遊んでくれないのかな……』
色羽は泣かなかった。ただ、下唇をぎゅっと噛みしめて何かに耐えていた。
『父ちゃんは……すぐに目をそらすんだ……』
そんな色羽を見つめたまま、あたしは何も言えなくて、色羽の腕を掴んだまま泣いていた。
まだ幼かったあたしたち。
小さな心は、
何かを受け止める力なんて、ないに等しいほど弱くて、脆くて。
簡単に壊れる。