初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

――――――……



海岸沿いの道をふたり並んで歩いていく。



「帰りの電車って、何時何分?」



「うーんと……いま調べる」



色羽はケータイで電車の時刻を調べ始めた。



「ねぇ、色羽」



「んー?」



「……トイレ行きたいなーなんて」



「マジか。駅までまだまだ歩くしなぁ……あ!あそこの店で聞いてみるか」



色羽は、近くにあった雑貨屋さんを指差して歩き出した。



あたしも後を追いかけていく。



「待ってよぉ」



あたしたちは雑貨屋さんの前にやってきた。



小さな雑貨屋さんだけど、可愛い小物やアクセサリーがたくさん置いてあった。



「わぁ~可愛い~っ。こういうお店大好きーっ」



「目がキラキラしてんな」



「あ!ねぇ、色羽!これ見て?」



「ん?」



「ちょー可愛いくない?」



あたしは、黄色いたんぽぽのストラップを手に取った。



「ねぇ、色羽。これ3つ買わない?考えてみたらさ、3人でおそろいの物とか持ってないじゃん?」



「はー?やだよ。おそろいの物なんて。ガキじゃあるまいし」



「えー?ケチー。すっごくかわいいのになぁ」



あたしたちの話し声が聞こえたからか、奥から店員のおばさんが笑顔で出てきた。



「いらっしゃい」



あたしと色羽はペコッとお辞儀をする。



「それより、おまえトイレどーしたんだよ?」



「あ、そうだ!すみません、トイレって……かりてもいいですか?」



「えぇ、どうぞ」



おばさんは快く店の奥にあるトイレへ、あたしを案内してくれた。
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