初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
トイレから戻ると、雑貨屋さんの前のガードレールに色羽は座っていた。
「おまたせっ」
あたしが駆け寄ると、色羽はぴょんと地面に降りた。
「いこーぜ。電車の時間に間に合わねぇ」
「えー!?ゆっくり小物とか見たかったのに~。あのたんぽぽのストラップ買いたいのに~」
「時間ねぇから、行くぞ!」
色羽は強引にあたしの腕を引っ張って歩き出す。
「ちょっ……色羽ってばぁ」
「また、いらっしゃいね~」
雑貨屋さんのおばさんは、笑顔であたしたちを見送る。
あたしは色羽に引っ張られながら、振り向いておばさんに笑顔でお辞儀をした。
「トイレだけ貸してもらって、何も買わないとかさ~。あーあ。欲しかったなぁ。たんぽぽのストラップ」
「ほら、電車乗り遅れるぞっ。走れ」
「わかりましたよっ」
3人でおそろいの物、持ちたかったな。
あのたんぽぽのストラップ、可愛かったし。
またいつか買いに来ようかな。