初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

トイレから戻ると、雑貨屋さんの前のガードレールに色羽は座っていた。



「おまたせっ」



あたしが駆け寄ると、色羽はぴょんと地面に降りた。



「いこーぜ。電車の時間に間に合わねぇ」



「えー!?ゆっくり小物とか見たかったのに~。あのたんぽぽのストラップ買いたいのに~」



「時間ねぇから、行くぞ!」



色羽は強引にあたしの腕を引っ張って歩き出す。



「ちょっ……色羽ってばぁ」



「また、いらっしゃいね~」



雑貨屋さんのおばさんは、笑顔であたしたちを見送る。



あたしは色羽に引っ張られながら、振り向いておばさんに笑顔でお辞儀をした。



「トイレだけ貸してもらって、何も買わないとかさ~。あーあ。欲しかったなぁ。たんぽぽのストラップ」



「ほら、電車乗り遅れるぞっ。走れ」



「わかりましたよっ」



3人でおそろいの物、持ちたかったな。



あのたんぽぽのストラップ、可愛かったし。



またいつか買いに来ようかな。
< 223 / 328 >

この作品をシェア

pagetop