初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

「俺が泣くの我慢してんのに、華がちょー泣いててさ」



「ごめんてば……」



「いや、うれしかった。この子以外、やっぱり好きになれねぇなって」



色羽の笑顔に、胸がぎゅっとなる。



「ケガしたあの時さ、俺もう二度とバスケなんてやらねぇって思ったけど、華と成の言葉で、もう一度バスケやろうって思えた」



「あの時、成はなんて?」



「俺が落ち込んでんのにさ、成がなんか知らねぇけど怒っててさ」



「え?怒ってたの?」



成が怒るなんて珍しい。知らなかったな。



「なんで怒ってるんだよって聞いたら、怒ってねぇって言うし。でも諦めて落ち込んでる俺がムカつくって言うからさ。怒ってんじゃんか!って思わずツッコんだよ俺」



「ふふっ。で、怒ってる成はなんて?」



「俺にいま必要なのは気持ちだって。気持ちがなかったら、なんだってうまくいかないってさ」



「そっか……成らしいね」



「下ばっか向いてんなよって。つらいときは振り返れってさ。成や華がいるからって……成は言ったんだ。俺を本気で心配してくれるやつがふたりもいるって思ったら、なんか自然と元気でた」



「あたしね、高校に入って色羽がもう一度バスケやるって言ったとき、すっごくうれしかった」



「おまえらのおかげな」



「色羽が頑張ったんだよ」



「おまえらがいなかったら、とっくにバスケやめてた」



あたしたちはいつも。



どんなときも。



3人で。



そうやって、あたりまえのように励まし合って、支え合いながら。



たくさんのことを乗り越えてきたね。
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