初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
お母さんが運転する車で、あたしと成は、色羽のいる病院に向かっていた。
色羽の生徒手帳の緊急連絡先の欄には、色羽のお父さんのケータイ番号ではなく、うちの家の電話番号が書かれている。
そのため、なにかあれば真っ先にうちに電話がかかってくる。
「成くん、繋がった?」
運転しているお母さんが、成の方に振り返る。
「ううん、ダメだ」
成はさっきからずっと、何度も何度も色羽のお父さんのケータイに電話をかけている。だけど繋がらない。
「色羽くんのお父さんに至急病院へって、メール……」
「うん、メールはもうした」
「ありがとう、成くん」
車の後部座席に成と一緒に座っているけど、あたしは動揺していて膝や手の震えが止まらなかった。
色羽……色羽……。
震える唇をぎゅっと噛みしめる。
色羽……。
何度も心の中で色羽の名前を呼んだ。
さっきからずっと……色羽の笑顔しか浮かんでこない。
あたしの手を握り締める成。
だけど、あたしの手を握りしめた成の手も震えていた。