初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
――――――……
数日後。
色羽のお葬式には、たくさんの人が来ていた。
バスケ部や高校のクラスメートたち。中学の同級生も。同じ町内の人たちもみんな来ていた。
あたしは、色羽の遺影を見つめる。
色羽は、川で溺れていた小さな男の子を助けるために、川に入った。
小学生の女の子が川原で泣いていて、通りかかった色羽に助けを求めた。
その女の子は、溺れていた男の子のお姉ちゃんだった。
色羽が川に飛び込む前、男の子のお姉ちゃんは色羽に言われて近くの家に人を呼びに行ったらしい。
川原に駆けつけた大人たちが警察に通報した。
色羽は男の子を抱えながら、必死に泳いで岸へと向かったと聞いた。
駆けつけた大人たちによって、岸の近くで川の中から先に男の子が救助され、病院に搬送された男の子の命は無事だった。
色羽もすぐに川の中から引き上げられたけど、すでに手遅れだった。
川に飛び込んだ色羽の気持ちが、どんな気持ちだったかは想像がつく。
色羽は、助けようと必死だったんだと思う。
目の前で小さな男の子が溺れてて、助けを呼びに行って待ってる暇なんてなくて。
いま助けに行かなきゃ、手遅れになる。
男の子が目の前で死んでしまうかもしれないと、きっと思ったはず。
だから他には何も考えられなくて、まだ幼い男の子を助けようと必死で。
必死で最後まで、力が尽きるまで泳いだんだ。
けど……なんで?
なんでこんなことになるの……?
「華……こんなことになるなんて……」
耳元で砂歩の声が聞こえた。
気づくと、砂歩があたしを抱き締めていた。
「砂歩……」
砂歩はあたしを抱きしめながら泣いていた。
だけど、あたしは涙が一粒も出てこない。
あたしはいま、どこにいるんだろう。
夢と現実の間を彷徨ってる。