初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

「あたしたちは……3人じゃなきゃ……ダメなのに……。誰かひとりでもいなくなったら……ダメなのに……」



「ん……」



抱き締めたまま、華の背中を優しくさすり続ける。



「華……。華はひとりじゃないだろ?華が待ち続けるなら、俺も一緒に待つよ」



「成……」



「つらくても、悲しくても……ひとりじゃないってこと忘れんな……。俺がいる。これからもずっと俺がそばにいる。華のそばにいる」



大切な人を失うのは、耐えがたい苦しみだ。



行き場のない後悔と怒り、深く消えることのない悲しみ。



胸が引き裂かれるような痛み。



何度拭っても、枯れることのない涙。



こんな気持ちがいつまで続くんだろうか。



「いままでずっと泣けなかったんだろ?泣くの我慢したら、その分もっとつらくなる。なぁ……自分のために泣いたっていいんだよ、華……」



「……助けてぇ……助けてよぉ……成……」



「ん……」



「うわぁぁぁ―――ん……」



つらくて、どうしようもないなら。



せめて泣けよ。思いっきり。



「みんなの前では無理しても、俺の前では無理しなくていいんだ」



つらいとき、寂しいとき。

どうしようもなく悲しいとき。



泣くことは……ダメなことじゃないよな?



泣いたっていいだろ?



我慢しなくたっていいだろ?



いつか、心から笑えるようになるため。



そのための涙。



だから涙の一粒、一粒。



無駄な涙の粒なんて、きっとひとつもない。



冷たく降りしきるこの雨も。



いつか止む。



いつか……きっと止む。



空を見上げると、雲の隙間から光が差し込んでいた。



「成……ごめんね……」



華は涙を拭い、また泣くのを我慢しようとする。



「いいから。いまは泣け。思いっきり泣け。どれだけ時間がかかってもいいから」



「だって……疲れちゃわない……?こんなあたしを見てるのは……呆れるでしょ……?」



「そんなわけないだろ?華がどんだけ泣いても、俺は疲れもしないし、呆れたりもしない。大丈夫だから……」



「……っく……成……っ……」



「華の涙は、俺が拭くから。何度だって拭いてやるから。だから気にしないで泣け……」



「成……っ……ありがとぉ……」



華を抱きしめながら、俺も涙を流した。



色羽……。



逢いたい。



逢いたいんだよ。



一体どうすれば。



どうしたらもう一度、おまえに逢える……?
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