初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
――――――……
1ヶ月後。
あれから華は、少しずつご飯を食べれるようになった。
夜は眠れない日もまだまだあるけど、それは俺も同じだった。
そんな時は、華の部屋で朝まで一緒に映画のDVDを観たり、ゲームをしたり、音楽を聴きながら話したりして……そんなふうに過ごしている。
学校での華は、相変わらず明るく振舞っている。
だけど、俺の前では弱音を吐くこともあったり、泣いたりするようになった。
そんな華を見て、俺は少しホッとした気持ちになっていた。
「成、この問題わかる?」
「え?どれ?」
いまは、華の部屋にふたりでいる。
テスト1週間前。
テストに向けて一緒に猛勉強中。
――コンコン、ガチャ……。
華のお母さんが、部屋にやってきた。
「勉強ちゃんと頑張ってる?近所の人にさくらんぼもらったから、ふたりで食べなさい」
「お母さん、ありがと」
「ありがと、おばさん!いただきまっす」
「どうぞ。それからこれ……」
そう言って華のお母さんは、小さな水色の紙袋をテーブルの上に置いた。
「色羽くんのお父さんから預かったの」
「え……?」
華と俺は、顔を見合わせたあと、水色の紙袋の中を覗く。
「あの日、この紙袋が色羽くんのカバンと一緒に川のそばに落ちていたらしいの。しばらくして誰かが届けてくれたみたい」
色羽が持っていたもの……?
「ふたりに渡すつもりだったみたいだからって、色羽くんのお父さんが……」
そう言って華のお母さんは、部屋から出て行った。
華と俺は目を合わせる。
“6時に原っぱで”
あの日、色羽は俺たちにこれを渡そうとしたのか?
水色の紙袋の中には、小さな水色の箱と手紙らしき白い封筒が入っていた。
封筒の真ん中には“成、華へ”と書かれている。
「成、この箱……開けてみていいかな?」
「うん」
華が小さな箱を開けると、華はすごく驚いた表情で一瞬手が止まった。