初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
[1枚目の手紙]
――ふたりへ。
手紙なんて書くの、初めてだな。
たぶん最初で最後な。こーいうの恥ずかしいし。
でも口で言うのは、もっと恥ずかしいから、
こうやって手紙を書くことにした。
今日は、なんの日か知ってるか?
勝手に俺が記念日にした。
おまえらふたりは、忘れてるだろうけど。
今日は俺たち3人が出逢った日なんだ。
15年前、母ちゃんが病気で死んで、
お通夜の前に近所の人たちが、うちの家にいろいろ手伝いに来てくれた。
そこに、華の母ちゃんと成のばーちゃんと母ちゃんも来てくれて、
華と成も一緒についてきた。
母ちゃん俺を産んでからずっと体調悪くて、そのあと病気になって、
だからそれまで俺は、外に出て遊んだりしたこと、ほとんどなくてさ。
家の中で過ごすことが多かったから、近所に同じ年くらいの子が住んでるのはなんとなく知ってたけど、どんな子たちなのか顔さえもよく知らなかった。
15年前のあの日、俺たちは初めて出逢ったんだ。
うちに手伝いに来てくれた近所の人たちに父ちゃんが挨拶したり忙しそうな中、
俺はひとり縁側に座って泣いてた。
まだ3歳だった俺は、母ちゃんが死んだっていう意味がよくわからなかった。
ただ、父ちゃんに母ちゃんは遠いところに行ってしまったから、もう会えないと言われて。
会えないっていう言葉が、無性に寂しくて悲しかったのを覚えてる。
そのとき、近所に住んでいる名前の知らない子たちがやってきて、縁側に座った。
それが華と成だった。
俺を間に挟んで座ったふたりはさ、
成は俺の右手を、華は俺の左手を。
ぎゅっと力強く握りしめてくれた。
涙で滲んだあの日に見た空を、いまも覚えてる。
それがふたりとの出逢いだった。
あれから俺たち、よく遊ぶようになって、いつも一緒で。
仕事で忙しい父ちゃんは家にほとんどいなくて。
でも成と華がいたから俺、がんばれた。寂しくなかった。
ふたりがいてくれたから。
俺、生きてこれたんだと思う。
ありがとな。
つらいときは、支えあって。楽しい時は一緒に笑って。
そうやってなんでも3人で分け合ってきたよな。
これから先、どんなことがあってもおまえら以上に大切な人はいない。
いないよ。
普段は恥ずかしくて言えないけどさ。
おまえらのこと、大好きだから――。