初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

「……琉生」



うそ……琉生なの……?



成の弟の“琉生”。



離婚して、お父さんと一緒に5歳の時に引っ越していった、あの琉生……?



そう言われると、どこか面影がある気もする。成の小学生の時にもそっくりだ。



「琉生……どうしてここに?」



「久しぶり。兄ちゃん、ボクのこと覚えてた……?」



「あたりまえだろ」



琉生と目が合ったあたしは、胸元で小さく左手を振った。



あんなに小さかったのに、大きくなったね……琉生……。



「こんなに遠くまでひとりで来たのか?来るって連絡くれれば…」



「ボク、兄ちゃんに会いに来たわけじゃないから」



琉生の冷たい声に、成は黙り込んでしまう。



「父ちゃんから色羽兄ちゃんのことは聞いたよ」



「……うん」



「学校あったし、お葬式には行けなかったけど、夏休みだから来た。お墓参りだけでもしたくて……」



「そっか、ひとりでよくここまで来たな」



琉生はあたしの顔を見た。



「華姉ちゃんでしょ?久しぶり。変わってないね全然」



琉生は、小学生にしては、ずいぶん落ちついた話し方だと感じた。



「琉生は、大きくなったね」



ベンチの前に立ったあたしが琉生の頭を撫でると、琉生は恥ずかしそうに、あたしの手を跳ねのけて嫌がった。



あの頃と変わってない。



琉生がまだこの町にいた時に、小さかった琉生の頭を撫でた時と重ねる。



琉生は、人から頭を撫でられるのが苦手だったのを思い出した。



「ちょうどいま、俺たちも墓参りしてきたとこなんだ。琉生が行くなら俺も一緒に……」



「いい。ひとりで行く」



「琉生……」



さっきから一度も琉生の笑顔を見ていない。



どこか冷めたような表情で、淡々とした口調で話している。



あたしの知ってる琉生は、成みたいに明るくてよく笑う子だった。



6年という月日が、まだ小さかった琉生を変えてしまったんだろうか。
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