初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
「華姉ちゃんとどっかに行くところだったんだろ?」
「あたしのことは気にしないで、ふたりで過ごして?せっかく6年ぶりに会えたのに……」
「ひとりで行きたいんだ」
琉生はハッキリと大きな声で言った。
そんな琉生を見て、悲しそうな表情を見せる成。
「わかったよ、琉生。お墓の場所わかるか?」
「家に電話して、母ちゃんにでも聞こうと思ってたところに兄ちゃんたちが現れた」
「じゃあ、場所……いま紙に書いてやるから、待ってな。華、ペン持ってない?」
「あ、うん……」
あたしが鞄の中を探していると、琉生はベンチから立ち上がり、あたしたちの横を通り過ぎていく。
「いいよ。母ちゃんに聞くから」
そう言って琉生は歩いていってしまう。
あたしは琉生の背中に向かって叫んだ。
「琉生!待って!成はね、ずっと……」
「やめろ、華」
成は、あたしの言葉を遮って言った。
「気をつけて行けよ、琉生」
成は琉生の背中に向かって言った。
成……せっかく会えたのに。
本当にいいの……?
琉生が少し先で立ち止まり、小さな声で呟いた。
「本当は……」
琉生がゆっくりと振り返る。
「本当は……ここに着くまで、お墓参りだけして帰ろうって思ってた」
琉生はうつむいたまま呟く。
「兄ちゃんに会うのが怖かった……」