初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

「望月先生、お疲れ様」



「お疲れ様です。園長、お先に失礼します」



夕日が沈んだ頃、保育園内の全員の子供たちのお迎えも終わり、今日も1日の仕事が終わった。



保育園から出ると、東の空は紺色に染まり、綺麗な三日月が見えていた。



一人暮らしのアパートに帰る途中、ケータイを鞄の中から取り出す。



あたしのケータイには、タンポポのストラップが2コついている。



色羽が買ってくれた3人おそろいのタンポポのストラップ。



1コは成が持っている。



あたしは自分の分と色羽の分の2コをケータイにずっとつけていた。



ケータイの画面を見ると、砂歩からメールが届いていた。



**********

華。
今日もお疲れ様ー!

8時ごろまでには
行けると思う。

あとでねー♪

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今日の夜は、あたしの家で砂歩とふたりきりで鍋をすることになっている。



砂歩と会うのは2ヶ月ぶりくらい。



砂歩も高校を卒業して、隣県の大学に進学し、生まれ育った町を出た。



あたしが通った短大と同じ県にある大学を卒業した砂歩は、大学の近くの信用金庫に就職した。



お互いに働いてるから忙しくて、学生の時のように頻繁には会えなくなったけど、



いまも連絡は取り合っているし、こうしてたまにご飯を一緒に食べたりもする。



あたしは帰宅してすぐに部屋を片付け始める。



一人暮らしだと、掃除などの家事は自分でやらなければいけない。



最近はついつい後回しにしてしまって、掃除もサボりがちだった。



部屋の片づけが終わると、時刻は8時ちょっと前。



野菜を切ったりして鍋の準備をして待っていると、砂歩があたしの家にやってきた。
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