初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
『今日のバイト、暇だったなー』
『うん、そだね。あ、うち見えてきた……』
『ハハッ。めっちゃ近いじゃん』
西内の家は、バイト先のコンビニから5、6分の距離のところにあった。
『んで、西内の話って?』
俺が振り向いて聞くと、自転車を押していた西内は立ち止まる。
『成くん……助けてくれてありがとね』
『え?あぁ、バイト中の時のこと?今日のヤツは、本当しつこかったよなぁ~』
西内はバイト中、客の男にナンパされていた。
ニコニコと愛想のいい西内が、客の男に声をかけられることは、しょっちゅうあった。
西内が断れば、ほとんどは引き下がるけど、中にはしつこいヤツもいる。
『ああいう時って、どうしていいか本当困る。でも成くんがいてくれると、うまく対処してくれるから助かるよ』
『西内は可愛いからな~。気をつけろよっ?』
『成くん……』
『ん?』
『砂歩ね……成くんのことが好きなの……』
俺は想像もしていなかった西内の告白に驚いた。