初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
「成くんが砂歩のことを好きじゃなくても……そばにいられるだけでいいって最初は思ってた……」
西内はうつむいたまま言った。
「そう思ってたはずなのに……キスしてても本当は不安で、つらくて……」
俺は黙り込む。
西内を傷つけるつもりで付き合い始めたわけじゃない。
でも、結局はこうして西内を傷つけてる。
俺のせいで。
「つらいなら……西内の好きにしていいよ……」
「ずるいよぉ……そんな言い方……」
俺はしゃがみこみ、西内の顔を見つめて微笑んだ。
「そうだよな、ごめん」
西内は俺に抱きつく。
「ううん。砂歩の方こそ、ごめんね。最初から成くんの気持ちは全部わかってるのに……」
全部わかってて、つらいはずなのに、傷ついてるはずなのに。
それでも西内は俺のそばにいようとしてる。
「……こんな俺でもいいの?」
「あの日から……成くんは砂歩のこと、見ようとしてくれてるんだよね?」
「うん……だから西内といる」
「最初から両想いのカップルなんて、ホント奇跡に近いもんね?いつか、成くんに砂歩のことを好きになってもらえるように、もっと頑張るっ」
「西内……」
「砂歩は、成くんと一緒にいるっ」
俺は、西内の体を優しく抱きしめる。
「わかった……。あの日、ちゃんと言葉にしなくてごめんな」
西内は俺の腕の中で首を振った。
俺は体を離し、西内の瞳を見つめる。
「俺と付き合ってください」
「……はいっ」
西内は目に涙をためて、笑顔で答えた。