君がいたから
 再会してからも度々家(うち)に招いていたが、この交流は小学五年生の頃からあった。その時期は真己の両親が離婚をした時でもある。
 離婚の原因は、噂ばかりが先立って本当のところはわからないが、そもそも他人の家庭の事情なんて詮索するものではない。事実は、離婚によっておばさんが夜働くことになり、真己は夕飯を一人ぼっちで食べなくてはならなくなったということだ。

 真己はだんだんと元気のない日が多くなった。口数が少なくなったと感じるのも気のせいではない。
 何とか真己に喜んでもらおうと両親に相談したのが、一緒に食事をするということだった。試しに一度でもいいからとの提案が、我ながら実にいい結果となった。

 最初からそこにいた感じとでも言おうか、ずっと家族でいるような感覚にさせられた。違和感を全然抱かなかったのである。それからは親同士が話し合いをし、夕飯を共に食べることとなった。
 真己と父は何故かとても気が合い、スポーツや雑学、父の子供の時の遊びやらで話題は尽きなかった。真己の尊敬する人がうちの父というのだから、その信頼は厚い。
 私にとってちんぷんかんぷんな話題だとしても、真己と父が楽しそうに話しているのを見て、私も楽しかった。単純に、真己と一緒にご飯を食べるのが嬉しくてたまらなかったのだ。

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