君がいたから
 次は学校である。
 真己の性格上、大勢で群がるよりも一匹狼でいる方が多かったので、真己を良く思っていない連中が、ここぞとばかりにねちねちと攻撃をしかけてきた。攻撃といっても、真己に力勝負で勝てないことを知っているため、言葉の方でだったが。とにかく真己のお母さんのことや一緒にご飯を食べることに関して、とやかく言ってくるのだ。
「おい本橋。お前、榎本んちで飯食ってるんだって?よく恥ずかしくないよなー」といった具合である。
 休み時間は遊ぶことに夢中になるので、こういったことは掃除の時間に起こる。ちゃんと掃除をするようにと、何度も注意したところで聞く耳を持たない。いい加減うんざりする。

「お前の母ちゃん、水商売ってやつやってんだろ?うちの母ちゃんが言ってたぜ、そういう商売するのは、ろくでもない奴が多いって」
「何だと?」
「ちょっと!真己のお母さんのこと悪く言わないでよ!」

 これにはさすがの真己も怒りの表情を見せ、私もついに口を出した。真己をからかっていた数人の男子は、一斉に注目を浴びたということもあり少したじろいだ様子を見せたが、すぐに向き直り吠え立てる。

「だから子供も非行に走るんだってさ」

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