君がいたから
 私は露骨に迷惑そうな顔をして早歩きで向かう。しかし、相手は車なので速度調整は簡単だ。
 男は返事のこない質問を2、3繰り返し、とうとう車の中に引っ込んだ。
 あーよかった。と思ったのも束の間、10mくらい先で車を止め、助手席に座っていた──声をかけてきた男が降りてきたのだ。

 予想外の展開に、はっと足を止める私。ちょっとしつこい?この人たち。じゃなくて、こういう時どうすればいいんだっけ?逃げる?どこに?コンビニは男の後ろだ。
 少々パニック状態の私は、色々と考えるが足を震えさせるだけで何も出来なかった。絶対話だけで終わるはずないもの。その後のことは想像もしたくなかったので、考えを断ち切った。
 どうしよう……怖い!後は何も考えられなくなった。
 一歩後ろへ足を引いた。とにかく車が入れない所からアパートへ帰ろう。もうそれしかない。

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