君がいたから
真己は高校を卒業してすぐに調理師の免許を取り、お母さんのお店を手伝っているそうだ。いずれはあとを継ぐ気でいるらしい。
コンビニへ寄ったのは、うっかり切らしてしまったお店の飲み物を買うためだと言っていた。お互いの買い物も終わり、久しぶりの再会に気分が高揚していたこともあって、おつかいの帰りだということをすっかり忘れていた私は、これから自室へ遊びに来ないかと誘っていた。
真己はちょっと考える仕草をとって、「少しなら」とOKを出す。私はまるで子供のように歓喜の声を上げ、スキップする気持ちで歩き出した。
アパートに着くまではおばさんのお店の話になった。引っ越す前に勤めていたホステス業ではなく、居酒屋風の小料理屋を営んでいるそうだ。お店の名前は「凛(りん)」。場所はアパートから10分以内にあるそうだが、住所を聞いてもわからなかったので、明日連れて行ってもらうことになった。
「あ、ここなの、私の部屋。ちょっと待っててね」
鍵を探す私に、真己は歯切れ悪く口を開く。
「あー……ごめん菜々子。やっぱり帰るよ」
「え!何で?」
何か気に障ることでもしたかな?突然のお詫びに声が上(うわ)ずった。
コンビニへ寄ったのは、うっかり切らしてしまったお店の飲み物を買うためだと言っていた。お互いの買い物も終わり、久しぶりの再会に気分が高揚していたこともあって、おつかいの帰りだということをすっかり忘れていた私は、これから自室へ遊びに来ないかと誘っていた。
真己はちょっと考える仕草をとって、「少しなら」とOKを出す。私はまるで子供のように歓喜の声を上げ、スキップする気持ちで歩き出した。
アパートに着くまではおばさんのお店の話になった。引っ越す前に勤めていたホステス業ではなく、居酒屋風の小料理屋を営んでいるそうだ。お店の名前は「凛(りん)」。場所はアパートから10分以内にあるそうだが、住所を聞いてもわからなかったので、明日連れて行ってもらうことになった。
「あ、ここなの、私の部屋。ちょっと待っててね」
鍵を探す私に、真己は歯切れ悪く口を開く。
「あー……ごめん菜々子。やっぱり帰るよ」
「え!何で?」
何か気に障ることでもしたかな?突然のお詫びに声が上(うわ)ずった。