君がいたから
 ここではたと気付いたことが一つ。私は、真己のことをどう思っていたのだろう?一緒にいるのは楽しいし、ただの幼馴染みよりかはうんと大切な存在だ。でも……

「ねえ、お父さん。一緒にいるのが当たり前だと思うからって、恋愛の好きとは言えないよね?」

 突然の質問にも、父は嫌な顔一つせず考えてくれた。私がどういう意味で尋ねているかを知っておいた方がいいと判断した父に、素直にありのままの気持ちを伝える。

「菜々子は真己くんが好きかい?」
「だから、好きは好きでも恋愛の好きかって聞かれるとわからないって……」
「別に恋愛の好きかどうかと分ける必要はないんじゃないかな?好きにも色々形があっていいと思う。友達の好き、家族の好き、恋愛の好き……でもそれらは、全部好きという感情だ。好きなものは好き、それでいいじゃないか。父さんだって、母さんも菜々子も真己くんも皆好きだよ」

 皆好きという感情……何だか心に引っかかった。

「いいかい?菜々子。一緒にいて楽しい、安心するといったことはとてもいい関係だ。いい関係にあると、人は相手のことを思いやったり、喜ばせようとしたり、幸せを願ったりする。それがね、人を愛するということだ」
「……じゃあ、私だけに向けられた優しさっていうのも?」

 だんだんと鼓動が高鳴っているのがわかった。少しずつ見えてきた答えに、なぜか緊張する。

「それは、真己くんから?」

 父が指したのは、真己からのプレゼントだった。
 私は生返事のまま袋から小さい封筒と箱型のプレゼントを取り出し、先に包装をはがした。そこに、求めている答えがずばり書かれているような気がしたのだ。

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