君がいたから
 白い、長方形の箱はジュエリーを包む時には定番の物だった。中にはもう一つのケースが入っている。
 震える手でそっとケースを開けると、四つ葉のクローバーをモチーフにしたネックレスが姿を見せた。

 四つ葉のクローバー?
 そのプレゼントの意味がわからず、小さい封筒を開ける。どうやらメッセージカードのようだ。

『ハッピーバースデー、菜々子。幸せにな』

 カードには、そう書かれていた。そして追伸。

『やっと子供の頃の約束が果たせてよかった』

 子供の頃の約束?そして四葉のクローバー。
 でもあの時は栞にして終わったんじゃ……しばらく記憶を辿っていくと、ある真己の言葉が思い出された。

「菜々子の幸せのために、いつかちゃんとした四つ葉のクローバーをプレゼントするよ」

 愕然とした。
 まさか、あの時のことを覚えていたなんて。ずっと昔にした、私でさえも忘れていた小さな約束を。

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