君がいたから
 それにしても、そんな大事なことがあったのなら教えてくれればよかったのに。「頭が痛いからちょっと寝る」だけじゃ、疲れてるのかな?くらいしか考えないわよ。もし事故のことを知っていたら、引きずってでも病院に行ったのに。全く、真己のバカ。
 でも、真己がそういう性格で、病気という病気もしたことがないのを知っていて何の対処もしなかった私もバカだ。バカバカ。
 怒りの矛先が見つからない私は、苛々し、どうしようもないことにただ頭を巡らせた。

 今し方告別式から実家に帰ってきた私は、とりあえず自分の部屋に向かい手荷物をベッドの脇へ置いた。その中の一つに真己のお母さんから手渡された物があり、私はそれを手にベッドへ腰掛けた。

 小さめの紙袋の中身は何かのプレゼントのようだった。
 私はまだ開封する気にもなれず、くるくると色んな角度でそれを見つめる。そして軽く息を吐いて物に語りかけた。
 そのプレゼントが真己からの物だからだ。

「8年も一緒にいたんだしさぁ、家族同然の間柄なんだから、私にくらい言ってもいいんじゃないの?」

 もちろん返事はない。私は深くため息をついた。

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