君がいたから
 私は一体どれだけのものを失ってしまったんだろう?
 全く想像もつかないことだったが、少し考えてみようとした私は突然恐怖感に襲われた。自分だけ空間が切り離されたような孤独と恐怖。真っ暗闇に裸同然で放り投げられ、ただただ不安を抱くだけの、そんな感覚。

 隣に真己がいない……真己はもういない。
 そう認識する度に、あの深い闇に落ちていくようだった。

 これがずっと続くんだ……そう思うと背筋がぞくっと震えた。河原から吹く冷たい風のせいではない。

 私が落ち着きを取り戻した時には、もう西日が射し込んでいた。暖かくて広大な夕陽が別れを告げるように沈むのを見て、真己と重なった。
 同じ夕陽も、もう見られない。

 私は誘われるように家を出て、思い出の河原にやってきていた。今はすっかり辺りが闇に包まれている。

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