君がいたから
 真己からもらったクローバーのネックレスが風に揺られてその存在を私に伝える。
 私はそっとネックレスのクローバーの部分を手のひらに乗せ、ぎゅっと握りしめた。

「会いたいよ……また菜々子って呼んでよ」

 寂しさが涙になって表れ、私はその場にうずくまる。
 ダメだ。全然ダメ。真己がいなきゃダメだよ。真己の隣にいることが当たり前になっていた私にとって、その当たり前がなくなったんじゃ、私はこれから先どうしたらいいの?

 特別な言葉なんかなくても、私は真己の側にいられるだけで幸せだった。この幸せがずっと続くんだと思ってた。
 もしかしたら自分の気持ちに気付かなかったのは、わざと目をそらしていたのかもしれない。認めたら、一緒にいられなくなった時の悲しみが大きいと思ったから。
 皮肉なことに、最悪な形で失うことになったけど、でも。

 ……でも、真己を好きだったこと、そして真己から愛されていたことを知らない方が、きっとずっと悲しい。

 
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