美狐はベッドの上で愛をささやく
目は痛くて痛くて開けることができなくて、ポロポロと涙が流れ出す。
「紗良ちゃん……」
ぐいっ。
「!!」
目を乱暴に擦っていた手は突然掴まれ、体が、あたたかくて硬い何かに押し付けられた。
わたしが押し付けられた、あたたかくて硬い何かっていうのは弾力があって、耳にはトクン、トクンと優しい音が響いてくる。
きっと、紅さんの胸だ。
紅さんは、服が濡れるのも気にせず、パニック状態になったわたしを優しく包んでくれる。
それだけじゃない。
湿っている布をわたしの目に当ててくれた。
おかげで少し、痛みが和らぐ。
「紗良ちゃん、手をココに」
わたしの泡がついた手を、紅さんの手が誘導してくれた。
手は、洗面器の中に汲まれたお湯の中……。
そこで紅さんがわたしの手を洗うと、もうひとつの手もお湯の中に入れるよう誘った。
「ココでお湯を掬(スク)って目を洗うといい」