美狐はベッドの上で愛をささやく
不意にあたたかな体温がなくなって、わたしは思わず声を上げてしまった。
「うん?」
そんなわたしに、紅さんの顔がまた近づいてくる。
「!!」
どうしよう。
寂しいなんて言えない……。
「なんでも……ないです」
恥ずかしい。
なんで……16歳にもなってひと肌が恋しいとか……。
わたしは自暴自棄に陥(オチイ)って、紅さんから視線を外した。
「紗良ちゃん? 君は何を思っているのかな?」
紅さんは撫でるような優しい声で尋ねてくれた。
……言えない。
紅さんの体に、もっと、もたれていたいとか言えない。
だからわたしは、「なんでもないです」と答えるしかなかった。
それなのに……。
「紗良ちゃん?」
なのに、紅さんはそんなわたしの気持ちさえも察しているかのようだ。
何度も尋ねてくる。
わたしが答えるまでずっとこのままでいるつもりだ。
そう思ったから、ゆっくり……話しはじめた。