美狐はベッドの上で愛をささやく

「もう少し……」

「もう少し?」

「こうしてほしいなって……」


「紗良ちゃん?」


「ごめんなさい!! なんでもないです!!」


やっぱり言うんじゃなかった。


すごく恥ずかしい。


ココからいなくなりたい。


そう思って椅子から腰を浮かした直後――――。


ぐいっ。

「ぅわわっ」

わたしの腕がいきなり引っ張られてしまった。


また、紅さんの胸にわたしの顔が当たる。

服が濡れてしまうのにそれもかまわず、わたしのことを心配してくれる……。



「紗良ちゃんは、甘えん坊さんだね」



どうして?


なぜ、紅さんはここまで優しくしてくれるの?



今日はじめて会ったばかりなのに、どうして……。


だけど……。

もう少し、このまま……。



優しくしてくれる紅さんともう少し一緒にいたくて、両手を伸ばして紅さんの広い背中にまきつけた。


広い背中は、とても力強くて、あたたかい。


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