美狐はベッドの上で愛をささやく
わたしは目をつむって、ただひたすらこの時間が続けばいいのにって思った。
「……紗良ちゃん、君は可愛すぎる」
どこか困ったような、そんな笑い声が聞こえて見上げると、紅さんの優しい赤茶色の瞳と交わった。
――たったそれだけ。
なのに、どうして?
胸の奥がジクジクする。
体が……熱い。
あれほどムリだと思っていたのに、体から力が抜けていく……。
「やっと……やっと見つけた……わたしの…………」
頭がボーッとしていたから、最後の方は何を言ったのか、うまく聞き取れなかったけれど、彼はたしかに何かを言った。
そしてわたしの意識は、今までに感じたことのない解放感で満たされ、朦朧(モウロウ)としていた。