美狐はベッドの上で愛をささやく
……紅さんに似て、とても綺麗な子なんだろうな……。
それで……その子も、さっき、わたしにしてくれたように、髪も洗ってもらって、たくさん可愛がられているんだろうな……。
そう思った瞬間、わたしの胸の奥がチクリと痛んだ。
紅さんに優しくされるのはわたしだけじゃないって思うと、悲しくなってしまう。
「紗良(サラ)ちゃん?」
あ……。
わたし、何を考えていたんだろう。
紅さんが優しいのはわたしだけじゃないなんて、悲しむ権利はわたしにはないのに……。
馬鹿げた独占欲に、自分でもびっくりしてしまう。
紅さんはそんな考えを持った無粋なわたしを、首を傾げて見つめてくる。
独占欲なんて……持っちゃいけないのに……。
こんなことを思うのはけっして許されないこと……。
わたしは醜い存在だから……。
それでも、望んでしまうのはきっと、父以外ではじめて優しくされたからだろう。