美狐はベッドの上で愛をささやく

永遠に続く死の世界だっていうことは、無知なわたしでも何となく理解できた。




このまま引きずられてはいけない。



そう思うのに、わたしは抵抗できなくて、両足首はとても強い力で引きずられていく――……。




――――イヤ。



誰か!!





心の中で助けを求めたその直後だった。





「ぎゃあああああ!!」


わたしを捕まえていた『ソレ』が放つ断末魔のような悲鳴が聞こえたかと思ったら、急に体が軽くなった。


掴まれていた足首も解放される。



すると、わたしの足首に、ふわりとした毛のようなものが当たった。

「っひぃぃ……」

今度は何?

わたしをどうするつもりなの?


怖くて……怖くて…………。


体は金縛りにあったみたいに動くこともできない。


その間にも、足元にあったソレはゆっくりと這(ハ)いあがってくる。




……怖い。


……怖い。


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